１.保険会社担当者との交渉について
交通事故で被害にあわれた場合、加害者自身と示談の話をする場合もありますが、だいたいは加害者が加入している損害保険会社の担当者と話をするようになります。
よく法律相談でお聞きするのが、保険会社の担当者から「弁護士なんか頼むと弁護士費用が高くてかえって損だ。」と言われたというお話です。これは、金額の低い物損だけの事故ではそのような場合もあります。
しかし、少なくとも死亡事故や重大な傷害を受けた場合には、保険会社の担当者が、高い保険金を支払いたくないためにそのように言う場合もあります。保険会社は、営業の一貫として被害者と交渉していますから、できるだけ賠償額を減らして会社の利益をあげようとすることも十分考えられるのです。
やはり、保険会社の提案に少しでも疑問があったら、弁護士にご相談されることをお勧めします。
２.具体例
保険会社の提案をそのまま受け入れた場合に、知らないことで最も損をする可能性があるのは慰謝料の金額です。
では、具体例で考えてみましょう。
＜事例＞ 一家の支柱であるＡさんが交通事故で死亡した場合
(1) 保険会社の提案慰謝料
１，４００万円～１，５００万円程度での提案がされたというご相談をよく受けます。２，０００万円未満の提案で合意するよう強くいわれることが多いようです。
(2) 弁護士に依頼された場合
しかし、裁判所の判断で最も多い金額は２，８００万円程度となっています（日弁連交通事故相談センター資料）。
(3) 両者の比較
では、過失の割合が８対２で加害者が悪いと考えて計算してみましょう。
- 保険会社の提案をそのまま了承した場合・・・１，５００万円×０．８＝１，２００万円
- 弁護士に依頼して裁判で請求した場合・・・２，８００万円×０．８＝２，２４０万円
・弁護士の着手金 ５０万円
・成功報酬 １５％～２，２４０万円×１５％＝３３万６，０００円として考えてみましょう。
２，２４０万円－（５０万円＋３３万６，０００円）＝２，１５６万４，０００円
このように、慰謝料だけでも、約９５６万円プラスになることになります。
なお、交通事故で大怪我をした場合や、後遺症が残るような重大な傷害を受けてしまった場合にも同じことがいえます。更に、過失相殺の割合で争って、被害者の過失割合が下がったらプラス金額はもっと大きくなります。
お金の問題だけではなく、ご自分自身の問題について合理的な解決をしたいというお気持ちは多くの方が持たれていると思います。
もし、保険会社の提案の内容に疑問や不安を持たれたときには、弁護士へ是非ご相談ください。