夫(妻)が数年間も行方不明で、携帯電話も捨てられてしまったようで、連絡もとれなくて困っています。離婚できるのでしょうか。
行方不明者との離婚について
- 行方不明なので、お互いに話し合いによる協議離婚や調停離婚はできませんが、裁判を起こして判決をもらうことで離婚できる場合があります。
- 裁判で離婚する場合には、法律で定めた事由(こちらのページの裁判離婚の項目をご参照ください。)が必要になります。
本件では、3年間以上生死不明な場合ならば、それを証明すれば離婚の事由にあたります。また、他の女性(男性)と一緒に去ってしまったのであれば、それを証明できれば、不貞行為として離婚事由になります。更に、夫の家計で生活していたのに、行方不明となり、生活費も一切入れてくれないのであれば「悪意の遺棄(いき)」という事由にあたることになります。 - この訴訟を起こす場合には、訴えの内容を書いた書類(これを訴状(そじょう)と言います。)や証拠書類を被告(訴えられる方)に送らなければなりません。
ところが、被告が行方不明だとこれを送れないので、公示送達(こうじそうたつ)という方法によることになります。これは、裁判所の掲示板に「訴状などを保管しており、いつでも交付する」旨を掲示します。この掲示から2週間(海外に送るべき場合には6週間)経過したことで、訴状が被告に届いたことにするものです。
公示送達は、本当は被告が行方不明ではないのに行われてしまうと、本人が知らないうちに判決が出てしまう危険があるので、申立をする方は、「行方不明で訴状を送れないこと」を、色々な書類(例えば、住民票の職権抹消・携帯電話の強制解約の書類など)で裁判所に証明する必要があります。