「訴状」という書面が送られてきて、被告として自分の名前が書かれています。
どうしたら良いのでしょうか?
1.まずは弁護士に
必ず弁護士にご相談ください。そのまま放置して、裁判所に出て行かないと訴えた人(「原告」と言います。)の主張通りの判決がなされてしまいます。
2.訴訟などを起こされるケース
- 一、何らかの犯罪を犯して起訴され刑事被告人となったとき
- 二、家庭裁判所などで調停(離婚や遺産分割など)を申し立てられ相手方となったとき
- 三、地方裁判所や簡易裁判所に民事訴訟を起こされ被告になったとき
など思いもよらず、さまざまな裁判手続に巻き込まれることがあります。
一の場合、弁護人を自分で頼むことができますが、お金がないなど経済的な理由から国選弁護人を付けてもらうこともできます。多くのケースでは、裁判所は、被告人に対して国選弁護費用を負担させないことにしているようです。理由は、負担するだけの経済力がないからだと思われます。
自分や家族が弁護人を選任するいわゆる私撰弁護人の場合、弁護士費用は自分で支払うことになります。弁護士費用としては、着手金と事後の報酬金があり、後者は、保釈が認められたとき、無罪判決を得たとき、刑の執行猶予付き判決を受けたり罰金刑にとどまったときなどに一定額の報酬を支払うことを取り決めるものです。
弁護士からみると、国選弁護人の報酬は私撰弁護人よりもはるかに安いということになりますが、それでも国選弁護の場合に弁護活動の質を落とすことはありません(当事務所ではそのようなことはありません)。それは、絶対にあってはならないことなのです。
但し、事件の事案や性質によっては私撰弁護人の方がより適切なこともありますので、弁護士に相談をし、説明を受けることをお勧めします。
3.民事訴訟を起こされたとき
家庭裁判所での家事訴訟(離婚事件など)も同じです。これらの事件では、もちろん話合いによって和解することも可能ですが、基本的には、裁判官が当事者双方から出された証拠を取り調べ、吟味して判決という形で結論を出します。
例えば、貸金を返せという訴訟では、「~円を支払え」という命令形で、離婚訴訟であれば、「~と~とを離婚する」という形で、裁判官が法廷で判決を言い渡しますが、一定の不服申立期間を過ぎて判決が確定すれば、確実に判決の内容をくつがえすことができなくなります。その結果、離婚の効果が確定したり(役場への離婚届出をしなかったとしても)、強制執行手続きによって、例えば預金や給料の一部が差し押さえられたりする事態になります。
訴訟手続きで勝てるか負けるかについては、裁判所で主張をどのように組み立て、どのような証拠をどのように出して、自分たちの言い分を裁判所に認めてもらえるかという極めて高い技術が要求されます。もちろん、技術だけで勝てるわけでもなく、手持ちの証拠や主張で当初から勝ち負けがわかってしまうことも多くあります。
訴訟が起こされれば、裁判所は、原告が訴えを取り下げない限り、その請求を認めるか認めないかの判断をしなければなりませんし、被告からすれば、裁判所の判決からもはや逃れられない立場におかれます。
裁判に勝つか負けるかは重大な問題です。負ければ時として大きな財産を失い、人生そのものが変わってしまうこともあります。裁判の結果の後に、人間関係を含めてどのような生活があるのかも想像しなければなりません。
そこで、訴訟を回避し交渉によって解決をはかる、負け筋の事件で何とか和解にこぎ着けて損害を極力減らす努力をする、逆に、その後の生活や人間関係のことを考えて請求を減額するなど、いろいろなやり方が検討されることになります。主張や証拠の評価を含めた“事件の読み”は、弁護士だからこそできる技術なのです。
4.調停の場合
調停は、一般的には、当事者がお互いに譲り合い、自主的に合意して事件の解決をはかる裁判所での手続きであり、裁判官と民間から選ばれた調停委員が当事者間の話し合いの仲介をしてくれます。一定の合意に達すれば、裁判所が調停調書という書面を作成してくれ、この書面上の取り決めが判決と同じ強い効力をもつことになります。反対に、話合いがゆき詰まって合意に達しなければ、調停は不成立となり、問題が解決しなかったことになります。
但し、家庭裁判所での調停の中でも遺産分割や離婚後の養育費や財産分与などについては、調停が成立しなかった後は審判手続きが開始され、審判官(裁判官)が審判という形で結論を出すこととなり、事件が解決します。調停が成立せず事件が解決しない場合では、後に民事訴訟の提起が予想されますし、調停が不成立でも後に審判手続きが控えている場合には、民事訴訟と同じようなことになります。
5.弁護士にご相談を
結論として、他人から裁判所でこれらの手続きをとられ、被告や相手方となった以上、基本的に逃れる自由はないと考えなければなりません。早く専門的な弁護士に相談して自分の状況を説明し、手持ちの資料を見せ、適切な対応をとることが不可欠となります。