養育費(婚姻費用)について調停で合意したのに、夫が支払ってくれません。
どうしたら良いでしょうか。
1.履行勧告(りこうかんこく)
まず、あなたから家庭裁判所に、夫に対して支払うよう勧告してもらうという履行勧告の申立が考えられます(費用はかかりません)。もっとも、これには強制力はないので、これだけで夫が支払ってくれるとは限りません。
2.履行命令(りこうめいれい)
次に、家庭裁判所に履行命令の申立をすることが考えられます。家庭裁判所が、この申立に十分な理由があると判断した場合、期限を定めて、夫に支払いの命令を出してくれます。夫が支払わない場合には,10万円以下の過料という制裁が定められています。もっとも、この命令が無視されてしまうケースも多いようです。
3.給与などの差押え
差押えとは、裁判所に申立をして、養育費(婚姻費用)を支払ってくれない夫の財産から、強制的に支払を受ける方法です。夫の給与・ボーナス・退職金,夫名義の預金・自動車・土地・建物などから、支払期限の到来した養育費(婚姻費用)について強制的に取り立てることができます。ただし、将来の分まで繰り上げて取り立てることはできません。
差押えをする場合、最も早く支払を得られる方法は、預金・給与を差し押さえる場合です。特に、夫が会社に長年勤続している場合や公務員の場合には、給与の差押えは確実な方法です。会社に裁判所から通知を出してもらって、給与の1/2以内で、毎月、直接あなたに支払ってもらえるからです。
4.任意に支払ってもらうためには
養育費の支払いは、父親と子との面会交流が適切になされているかに大きく関係することが多いです。離婚する妻の方は「できるだけ子供と夫を合わせたくない。」と考える方もいるようですが、子供との定期的な面会がなされているケースでは養育費の支払い率も高いと思われます。
また、父親が子供と定期的に面会交流できることは、子供の健全な成長にとって大切なことです。養育費の支払いの対価としてあるものではありません。
給与差押えなど、敢えて紛争にするよりも、子供のために面会を認めて、夫に養育費を自主的に払う気持ちになってもらうのも賢い選択だと思います。